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延髄外側症候群について

              

延髄外側症候群(wallenberg症候群)とは延髄外側部の梗塞に出現しやすくワレンベルグ症候群としてよく知られています。

病巣側:顔面の疼痛・痺れ・音痛覚障害、小脳失調、Horner症候群、嚥下困難・嗄声・構音障害

反対側:体幹・上下肢の音痛覚障害

栄養血管は後下小脳動脈(PICA)と椎骨動脈が主要血管であり、延髄下部では椎骨動脈閉塞によるところが多いと考えられます。

今回は、延髄外側症候群について各症状がどういった機序で出現しているかについてまとめていきます。

解離性感覚障害

内側毛帯は識別性の感覚線維が通過するため触覚・位置覚・運動覚に関与します。

内側毛帯は延髄正中付近に位置しているため、延髄外側部の梗塞の場合は障害されません。

一方、脊髄視床路は延髄の外側を通るため障害されやすい部位となっています。

全感覚から温痛覚のみが解離して障害されるので解離性感覚障害と呼ばれているようです。

交叉性感覚障害

脊髄視床路は温度覚・痛覚・原始触覚を伝える。

顔面の温痛覚は同側の三叉神経脊髄路を下行し交叉して反対側の三叉神経視床路を上行して視床の後内側腹側核(VPM)を経由して大脳皮質感覚野に至る。

延髄外側病変では病変側の三叉神経下行路と対側からの三叉神経視床路が上行してくるので、顔面の温痛覚障害は延髄病変の高さによって同側が障害されたり対側が障害されたりと複雑になっています。

その他の症状

たもつ
延髄の上部(頭側)での梗塞の場合の方が嚥下障害が強く出る印象があります。(歩けるようになって一見なんでもできるように見えるが飲み込みわるく食べれない)

Lateropulsion

たもつ
Lateropulsionを呈する人は側方に自身が崩れていくことに対して"わかっているけどそっちへ行っちゃう"などと表現します。

意識しても修正できない自身の姿勢調節機能の障害と考えられます。

Lateropulsionを呈する人の視覚的な垂直判断が偏倚しているのは、前庭・三半規管・眼球運動の情報伝達によって自動的に調節している垂直認知に関わる連絡経路が遮断されてしまう事によって視覚的垂直認知の障害につながっていると考えられています。

たもつ
壁にもたれるなど垂直を感じ取れる安定した環境で固有受容器からのフィードバックを利用していくと良いと感じています。

まとめ

感覚障害の機序を考えるときは、神経路の位置・高さを考える。

Lateropulsionへの介入へのポイントは障害されていない内側毛帯系(意識にのぼる固有感覚)のフィードバックを使った課題によって自身の姿勢調整機能の再学習を効率よく行なっていくことが良さそう。

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