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痙縮の病態生理について

              

痙縮(痙性)は脳卒中後に生じる合併症の一つです。
伸張反射の亢進に起因する、筋伸張時の速度依存性の抵抗によって特徴付けられています。
しかし、伸張反射亢進のメカニズムはよくわかっていません。

たもつ
痙縮の病態生理学的機序を調べていくとまだ解明されていない事が多く結局混乱してしまいます
なやみ
内容も難しくてなかなか理解できない

今回は調べたことについて解明されていることと解明されていないことを理解するよう勉強していきます。

痙縮の病態生理について

上位運動ニューロン障害の陽性兆候は、筋緊張亢進と伸張反射亢進を伴います。
陰性兆候には、脱力感、巧緻運動障害、易疲労性が含まれます。
脱力感と痙縮は、筋の長さを短縮し固定化することで拘縮につながりますし、拘縮はまた痙縮を悪化させます。

陽性兆候と陰性兆候について一方では過活動を起こしているのに対して、弱化している。

ダブルパンチですね

麻痺による運動単位の減少している状態であり、筋の過緊張を呈する状態でもある。

サルでは運動野の損傷は弛緩性麻痺を生じ、運動前野の損傷を加えると痙縮が出現すると言われています。

脳卒中患者の痙性片麻痺は、皮質制御を失った皮質脊髄路の影響を受けた運動障害と皮質制御を失った皮質網様体路の影響を受けた痙縮とが混在していると解釈できます。

脳のどの部分が痙縮に影響するかではなく、痙縮の定義にある伸張反射亢進に関わる要素について考えていきたいと思います。

伸張反射亢進に関わる要素を考える

痙縮に関与する神経機序を調べていくと筋伸張反射回路のシェーマが良く出てきます。

これに関して一つ一つ理解しているかというと解りません。

わからない点をわかっている点をまとめていきます。(α運動ニューロンの自己発火に関わる点)

  1. γ運動ニューロン活動性亢進・・・健常者との違いが示されていない。
  2. 筋紡錘活動性上昇・・・拘縮筋に対しての筋伸張は筋の粘弾性が上昇しているため他動伸張に対しての抵抗感が亢進している。拘縮によって短縮した筋線維は相対的に伸張反射の生ずる閾値が低下している。
  3. 下行性運動ニューロンの不均衡・・・網様体脊髄路と前庭脊髄路の関与が指摘されている。(橋網様体脊髄路・前庭脊髄路は興奮性・延髄網様体脊髄路は抑制性に下行出力する)
  4. α運動ニューロンの興奮性増大
  • PICの関与・・・Ca2+とNa+の持続的内向き電流(PIC:Persistent Inward Currents)によってプラトー電位が発生するとα運動ニューロンの興奮性増大に作用する。(難しい)
  • シナプス前抑制の減少・・・運動を行うにあたり不必要な筋感覚を抑制する作用が減弱している。(Post Activation Depression:PAD 神経伝達物質枯渇しない)
  • 抑制性介在ニューロン・・・相反抑制の減少により動筋・拮抗筋の同時収縮を招く。(前脛骨筋とヒラメ筋)
  • 反回抑制・・・運動時の調節異常。
  • Ⅰb抑制・・・運動時の促通作用。

反射回路のこれらの変化と脊髄内運動ニューロン固有の特性はα運動ニューロンの過興奮(自発的な運動単位の発火または閾値以下のレベルでの発火)を引き起こし、反射閾値を低下させる可能性があります。

脳卒中患者は臥位姿勢などリラックスした状態でも運動単位は自発発火している。
自動運動後の筋においても運動単位は休止せず発火し続ける。
これらの現象は、脊髄内メカニズムが制御されていない事によって引き起こされる運動単位の自発発火と考えることができます。

異常な脊髄内処理とその結果生じるα運動ニューロンの過興奮は、脊髄内ネットワークへの不均衡な興奮性および抑制性下降入力に続発する可塑性再組織化である可能性が考えられます。

 

痙縮の抑制について対処できること

脊髄内反射回路の是正・自己発火の抑制や末梢の筋弛緩薬の適応にて筋緊張をコントロール

ストレッチ

拘縮の予防や筋線維長の維持・改善、PADの正常化、安静時・非荷重時ではⅠb抑制有効

装具

足関節背屈の運動課題では同時収縮を招き背屈が困難となる。装具を活用して下腿筋の過活動を抑制、足関節背屈筋の抑制(相反抑制)が解除されると背屈が促される。

皮質脊髄路以外の運動路を利用し姿勢筋を賦活させる。(CPGの利用)

振動刺激

100Hz以上は促通・90Hz以下では抑制に働く

まとめ

痙縮の定義である伸張反射亢進に関わる要素についてまとめました。

筋紡錘の過活動を抑制するために筋線維長をしっかり維持していくことへの関わりが基本的なところだと感じました。

脊髄内回路の変化が伸張反射亢進に大きく影響している、装具の活用が過活動の抑制と運動出力の弱化の改善につながると考えられました。

 

痙縮筋への徒手的な関わり

痙縮は、筋の伸張反射亢進をもたらしますが、続発的に筋の機械的特性の変化によって痙縮に影響します。
痙縮筋の機械的抵抗の増加は、腱のコンプライアンスの変化と筋線維の生理学的変化を引き起こします。
伸張反射(筋緊張)の亢進した筋肉は短縮された位置に固定されるとサルコメアを失うため、筋線維の長さを再調整し短縮された筋肉の長さでも最適な力を発揮する事ができます。
筋肉の機械的特性の変化は、拘縮と筋肉のこわばりにつながる可能性があるので筋長を維持しておくことは重要と考えます。

網様体の関与する周辺組織

網様体は脳幹全体に非常に拡散して位置しているがよく組織化されている。
4つの明確でない境界によって縦方向に列を持っている。

  • 傍正中
  • 傍正中−内側
  • 中間
  • 外側

網様体は、脊髄・皮質・視床・小脳・大脳基底核・脳幹の他の中心部と関係がある。
これは脊髄反射の調節に加えて、運動の微調整・呼吸・心拍・血圧・覚醒・意識などの自律神経調節や痛み、体温、気分などの基本的生存調節にも関与している。このため、脳卒中患者であくびや恐怖や痛みなどで痙縮の増強が観察されると考えられる。

上位中枢が痙縮の発生に関わるという考え方(参考)

脊髄内ネットワーク処理の変化と末梢筋の変化は、脳卒中後の痙縮発生に寄与する二次的で適応的な要因である。
痙縮の網様体メカニズム

  1. 皮質網様体路の損傷による、脳幹網様体の脱抑制
  2. 皮質脊髄路の出力低下を伴う過興奮性網様体下降投射(脱抑制)
  3. 結果としての脊髄内ネットワークの変化と脊髄伸張反射の亢進

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