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主な神経伝達物質の作用と経路「3つ+α」

              

ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンは中枢神経系において重要な神経伝達物質であり、ヒトの身体・精神活動にさまざまな作用を及ぼします。

これらの作用と機序をまとめると複雑である分難しくなり、なかなか頭に落とし込めません。

今回は簡単にまとめる事で神経作用をざっくりとイメージできるようまとめました。

主な神経伝達物質の作用と経路「3つ+α」

 

カテコールアミン

副腎から合成・分泌される神経伝達物質であり、アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミンの3種類のカテコールアミンがある。

カテコールアミンが過剰の時、高血圧・動悸・頭痛などが起こり、精神的にも興奮しパニックになりやすい。

カテコールアミンが不足している時、心身の脱力・意欲の低下が起こり、抑うつ状態になりやすい。

 

ドーパミン

ドーパミンは中枢神経系のカテコールアミンの50%以上を占め、脳には中脳皮質経路・中脳辺縁系経路・灰白隆起漏斗路・黒質線条体路の4つの重要なドパミン作動性経路がある。

中脳辺縁系経路は、中脳の腹側被蓋部から扁桃体、帯状回、嗅結節、中隔核などへの経路である。

中脳辺縁系経路は、気分変化や認知機能と関係しており、コカイン、抗精神病薬などが、この経路に作用する。

パーキンソン病や統合失調症などとも関わる。

快刺激に作用するとされるドパミンは強化学習に用いられ、褒められることによって得られる快刺激を得ようとするモチベーションが働きより熱心に取り組むようになる事が挙げられる。

一方、快刺激とはアルコールやタバコ、ギャンブルでも得られる事ができるのでこれらを得ようと強化されてしまうと、依存形成がされてしまう。

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ノルアドレナリン

ノルアドレナリン作動性線維は脳の広い範囲に分布している。

主なものは、脳幹の青班核と外側被蓋核で視床・小脳・嗅覚皮質・新皮質へ神経線維を送る。

認知・覚醒・自律神経・内分泌などに関与している。

アドレナリンは、ストレスから体を守り交感神経を活発にさせる。

副腎にて分泌されるカテコールアミンのうち、約80%を占める神経伝達物質である。

 

セロトニン

中脳の正中付近にある縫線核から、小脳・視床・大脳辺縁系・新皮質への神経経路がある。

橋の縫線核からは、延髄・脊髄への神経経路がある。

姿勢や表情に関与し、大脳基底核に作用する。

睡眠と目覚めのコントロールに関与する。

覚醒:ノルアドレナリンとセロトニン

睡眠:メラトニンとセロトニン(松果体ではメラトニンの前駆物質としてセロトニンが存在する)

 

気分と躁鬱に関与する。

セロトニン→快刺激  ノルアドレナリン→覚醒・やる気 バランスよく作用していないと気分のコントロール不良となる。

躁状態:セロトニン  ノルアドレナリン 分泌過剰

鬱状態:セロトニン  ノルアドレナリン 分泌不足

治療

セロトニンの再取り込みを抑制したり、分解を抑制する事で、セロトニンの貯蔵量を増やす。

 

βエンドルフィン

脳内麻薬と称される、鎮痛の効果がある。(内因性オピオイド)

モルヒネの65倍の鎮痛効果、「ランナーズハイ」現象に関与し快感や高揚感を与える。

オピオイドとは

麻薬性鎮痛薬を指す用語であり、モルヒネに近い作用を持つ物質のこと。

麻薬=オピオイドではない。

 

まとめ

私たちの精神活動や身体活動には、中枢神経系が関与しています。

中枢神経系は脳の様々なネットワークが作用し、バランスのとれた的確な思考や運動がなされているのです。

神経伝達物質のバランスも脳内ネットワークに作用するため、精神活動や身体活動に影響を及ぼす事がイメージできたと思います。

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