痛風と偽痛風どっちも激しい痛みを伴う疾患ですね。
痛風は尿酸塩結晶の沈着による関節の炎症とされています。
偽痛風はピロリン酸カルシウム結晶の沈着による関節の炎症とされています。
痛風は生活習慣病と関連していることが多く生活習慣病予防のための運動指導や生活指導にあわせて関わることが多いです。
偽痛風は変形生膝関節症と関連していることが多く高齢者の膝痛を悪化させ日常生活に支障をきたしたり、入院中寝たきりであっても膝痛を訴え療養生活に支障をきたすなどしばしば遭遇します。
今回は、
- 生活習慣病に関わる痛風について予防リハビリ的に勉強する
- 高齢者整形外科疾患に合併してしばしば運動器リハビリを難渋させる偽痛風について勉強する
以上2点を記事していきたいと思います。
痛風とは
痛風とは・・・
尿酸の結晶が関節に沈着して起こる病気
尿酸値が高いとは、からだの中の尿酸が多くなる状態で血液中の尿酸が正常の範囲を超えている状態のこと。
尿酸値が高い状態が続くと結晶化して関節に沈着する。(尿酸塩結晶)
尿酸とは
尿酸とは・・・
からだの中の老廃物
細胞の新陳代謝やエネルギー消費によってプリン体に分解・合成されたのち肝臓で代謝され尿酸となります。
その他、食べ物によって体内に入ってきたプリン体から産生される尿酸があります。

尿酸は体の中で結晶化します
尿酸が過剰にあると尿酸塩結晶として関節に沈着します。
関節(滑膜)に沈着した尿酸塩結晶が関節腔に放出されると白血球などが貧食し炎症を引き起こします。(痛風発作)
高尿酸結晶(痛風)予防で気をつける事
予防するためのアドバイス
- 尿酸が尿に溶けやすくするために水分を多くとって尿の量を増やす
- 尿が酸性に傾いているのでアルカリ化を促す(酸性食品:肉・魚介類・パン・チーズ)(アルカリ性食品:大豆・牛乳・野菜・海藻)
- お酒の目安(ビール500ml・日本酒1合)(プリン体含有の少ないお酒でも、飲酒は体内の尿酸濃度を高めてしまう働きがあるので控えめに)
- ウォーキングなどの有酸素運動
- 乳製品が腎臓で乳酸を排泄する働きを補助してくれる
- 高脂血症や高血圧症などの生活習慣病と合併しやすいのでメタボリックシンドロームのチェックを定期的に行う
偽痛風とは
ピロリン酸カルシウム結晶の沈着が原因で起こる関節炎。
尿酸塩結晶以外の原因で起こる関節炎の総称とされている。
偽痛風の発生機序は不明
ピロリン酸カルシウム沈着の原因はよくわかっていない。
初回の偽痛風発作でレントゲン上石灰化像を観察するのはあまりないと思われる。
Calcium Pyrophosphate Deposition (CPPD) :ピロリン酸カルシウム二水和物
偽痛風による関節痛への処置
患部の安静と運動のバランスをとり、炎症を抑えつつ廃用を防止するという考え方。
痛風は比較的若い人に起こりやすいですが偽痛風は高齢者に多いので痛くて動けないということがのちに筋力・体力が落ちて自分では動けないことにつながってしまうおそれがある。
なので、痛みを悪化させない程度の運動ができるかできないかがのちに介護が必要になるか、介護量が増えるのかなどに影響してくると思われます。
偽痛風の発生機序は不明とされている。

まとめ
- 関節炎症を引き起こす引き金となる結晶は異なる
- どちらも関節内の炎症症状(滑膜性関節炎なのでリウマチの分類が適応されたりしている)
- 処置は痛み止めとアイシングなどによって炎症をおさえる
- 痛みがあっても運動ができたりベットに寝たきりにならないよう動ける人の方がリハビリの進みは良い