感覚神経は後根を通り、脊髄に入ってきます。
脊髄後根を通る神経線維は有髄と無髄の群に大きく分けられます。
また、運動神経は脊髄前角より神経終末までのびています。
皮膚などの末梢受容器から入った刺激が、脊髄を介して出力されていく経路について、まとめていくことで運動生理の知識を整理していこうと思います。
今回は、脊髄に入ってくる末梢神経の神経線維と各神経線維が入力される脊髄灰白質の層構造についてまとめました。
末梢神経線維の分類について
末梢神経の神経線維の分類方法には、研究者によって2種類の分類方法があり(下記①②)混在して使用されています。
神経線維は①電気神経学的性質による分類と②線維の機能と太さによる分類がある。
①電気神経学的性質による分類は(伝導速度の速い順)にA、B、Cの3種類に分けられ、さらにA線維は伝導速度の速い順にα、β、γ、δに分けられている。
②線維の機能と太さによる分類はⅠa、Ⅰb、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳに分類されている。
Aα線維はⅠa(筋紡錘)・Ⅰb線維(腱器官)とともに筋感覚を伝える線維(遠心性・運動線維含む)
Aβ線維はⅡ線維とともに識別性触覚を伝える線維
Aδ線維はⅢ線維とともに温痛覚を伝える線維
C線維はⅣ線維とともに温痛覚を伝える線維(交感神経・原始触覚含む)(ポリモーダル受容器)
B・C線維は自律神経にかかわる神経線維
Aα・Aγは運動線維であり、αは骨格筋・γは筋紡錘を支配
Rexedの層(板)について
レクゼドの層(板)とは脊髄灰白質を10層に分類する方法であり、Ⅰ~Ⅹ層と表現されます。
末梢神経からの伝導路が脊髄内を通過してしていく際に各神経線維が側副枝を出して脊髄灰白質のいくつかの部位と連絡します。
その際、灰白質のどの部位と連絡するのかを表すときに使われます。
Aα線維はⅥ、Ⅶ、Ⅸ層に連絡(筋紡錘からのⅠa求心線維)
Aβ線維はⅢ~Ⅵ層に連絡
Aδ線維はⅠ、Ⅴに連絡(もっとも細い有髄線維)
C線維はⅠ、Ⅱに連絡(無髄線維、温痛覚)
末梢神経の分類と感覚路について
脊髄の灰白質とは神経細胞が集まっているところ、これに対し白質とは神経細胞がなく、有髄神経が集まったところ。大脳皮質では外側に、脊髄では内側に灰白質が存在します。
脊髄の白質は上行路や下行路といった伝導路が通っています。
体性感覚の代表的な上行路は後索-内側毛帯経路、脊髄視床路、脊髄小脳路があります。
無意識的な固有感覚は、脊髄小脳路によって小脳に伝えられます。
体性感覚の経路は、位置覚・振動覚・識別覚を伝える後索ー内側毛帯経路と温痛覚・原始的触覚を伝える脊髄視床路に大別されます。
脊髄後索に伝わるのはAβ線維であり、識別性触覚に関与するとされています。
脊髄視床路に伝わるのはC線維であり、原始触覚に関与するとされています。(原始触覚は情動と関係がある)
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まとめ
受容器からの信号を末梢神経が伝達していきますが、求心線維と遠心線維についてまとめました。
脊髄から上位中枢へどう投射するのかなど、脊髄から上位中枢の関わりもまとめていきたいと思います。
大石実訳 神経の解剖と生理 メディカルサイエンス•インターナショナル