健康づくりにおいて理想体重を現す指標にBMI(Body Mass Index)という指標が用いられています。
体重(kg)÷[身長(m)]2で求めることができます。
成人では18.5未満が「痩せ」18.5以上25未満が「標準」25以上が「肥満」と分類されます。
理想体重は「標準」の範囲内であるBMI22を目指すことが多いと思いますが、理想体重は減っても増えても健康を脅かすリスクになると思います。
痩せていると栄養不足や筋力不足から虚弱体質となりロコモティブシンドロームやフレイルなどの状態になりやすく、転倒しやすい・骨折しやすい・感染しやすい・活力が無いなどの体質になってしまいます。
肥満の場合は生活習慣病によって、脳・心血管疾患や代謝疾患、呼吸器疾患などの病気になるリスクが高まります。
また、体重が重い事で筋肉や関節への負担が強まり、運動器の痛みによって運動不足からサルコペニア肥満といった状態にもなりやすいとされています。
なので、体重は減っても増えても将来年をとってからの介護度が高くなるリスクとなると考えられる訳です。
今回は理想体重を考える際に気をつけたい糖尿病について、その予防の為の基礎知識を勉強していきたいと思います。
目次
糖尿病予防のための基礎知識
糖尿病は血管をボロボロにする病気であり、細い血管から傷つきやすく慢性化すると太い血管まで障害されてきます。
網膜症や腎症・痺れは糖尿病の3大合併症として挙げられます。
合併症や新たな疾患の発症を防ぐためにも予防が重要となってきます。
糖尿病の程度を知る
①糖尿病疑いがあるかどうか受診状況を知る
糖尿病は自覚症が無い場合もあり病院へ受診する機会を先延ばしにしていたり、途中で中断してしまうこともしばしばあるようです。
②眼科受診歴を知る
糖尿病性網膜症の病期(程度)によって受診頻度が変わってきます。
糖尿病性網膜症 年一回の受診 強度の運動行わない
前増殖網膜症 3から6ヶ月の受診 医師の判断により運動可
増殖網膜症 1から2ヶ月の受診 ADL維持の為の運動
③腎症の状態を知る
糖尿病性腎症の場合、尿アルブミン値や尿蛋白尿を伴わないGFRの低下が存在する。
GFR(eGFR)
尿アルブミン値 たんぱく尿
運動は可能。たんぱく尿が出ている場合は強度を控える、顕性アルブミン尿300以上
④神経障害の有無を確認
多発神経障害 感覚運動神経障害、自律神経障害(リスク管理要)
単神経障害 四肢の神経障害
糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準
必須項目
1糖尿病が存在する 2糖尿病性多発神経障害以外の末梢神経障害を否定しうる
条件項目
1糖尿病性多発神経障害に基づく症状と思われている自覚症状(両側性 足趾 足底の痺れなど)
2両側アキレス腱反射の低下か消失
3両足内果への振動覚低下(128Hzで10秒以下)
潰瘍リスク
知覚神経障害 10g 5.07モノフィラメントの無感覚は正常な知覚の98%が失われている → フットケア 糖尿病性足病変への管理
自律神経障害のリスク
無自覚性低血糖 交感神経機能低下
起立性低血圧 血管運動反応低下
無痛性心筋虚血 心・迷走神経反応低下
食後低血糖 胃無力症
糖尿病の運動で重視する点とは
運動は、頻度・時間帯・時間・強度・種類を考えて組む。
頻度: 理想は毎日、最低週3回 GULUT4の関与・ 遅筋の動員する運動でより内臓脂肪減など、インスリンに依存しない血糖取り込み作用を狙う。
時間帯: 食後(高血糖予防)
時間: 理想は週150分以上 運動器疼痛が出ない程度
強度: VO2max 40−60%
種類: ストレッチ、有酸素運動、筋力増強
食後に10分運動するだけでも食後高血糖を予防できる。
インスリンやSU剤など、低血糖を引き起こしやすい場合は注意
まとめ
理想体重から多くても・少なくても、どちらであっても糖尿病やフレイルの危険因子となる。
理想体重を意識することで生活習慣を見直すきっかけとなる。
糖尿病の重症化予防では、運動のリスク管理が重要となってくる。