腎臓は五臓(肝・心・脾・肺・腎)のように人体の代表的な臓器でありますが勉強していくと難しい臓器であります。
心・腎・肺連関など各臓器とのつながりをもって人体に作用することを考えるとなかなか紐解いていけません。
今回は、腎臓について構造と働きをまとめていきながら尿の生成についての機序を勉強していきます。
構造
腎臓には血管と尿管がつながっています。
腹部大動脈から心拍出量の20%の血液が腎動脈に流入してきます。
腎臓から尿管が出ており膀胱につながっています。1日の尿量は約1500mlを基準に考えられています。
ネフロンは腎小体と尿細管で構成されています。
尿の生成は腎小体で血液を大まかに濾過して原尿をつくり、次に尿細管と集合管で原尿から体内で必要な物質を再吸収して尿にしていきます。
ネフロンでつくられた尿は、腎杯・腎盂に集まり尿管をとおって膀胱に溜められます。
働き
腎臓の働き
ホメオスタシスの維持
- PHの調節:人体にとって余分な酸やアルカリを尿として排泄することで酸塩基平衡を保つ働き
- 体内の水分量の調節:人体にとって余分な水分を尿として排泄することで最適な水分バランスを保つ働き
- 体液のミネラルの調節:体内の水分調節や神経・筋の運動調節に関わる電解質を最適に保つ働き(代表的な電解質Na K Cl P HCo3 Mg Caなど)
- 老廃物の排泄:尿素など体に有害な物質を体外に排泄する働き
- 血圧の調節:腎動脈への血流量を調節することで尿の生成量を調節し血圧をコントロールする働き(レニンなどのホルモンによる尿量調節作用)
- 赤血球の生成を促す:腎臓に流れてくる血液中の酸素濃度が少ないと骨髄での赤血球産生を促すホルモンを分泌する働き(エリスロポイエチン)
- ビタミンDを活性化する:腎臓で活性化されたビタミンDは腸から血液中にカルシウムを取り込む作用がある(骨密度を増加)
尿の生成プロセス
ネフロンは腎単位と呼ばれここで尿が生成されていきます。
ネフロンは腎小体(糸球体・ボウマン嚢)と尿細管で構成されています。
糸球体には輸入細動脈が入り、輸出細動脈が出ていきます。
糸球体を流れる血液のうち、血球やタンパク質など分子が大きいものを除いた成分が、ボウマン嚢にこし出されます。(原尿)
ボウマン嚢から続く尿細管では、体に必要な物質を原尿から血管内に再吸収します。
- 近位尿細管:グルコース・ナトリウム・アミノ酸・水など原尿の80%が再吸収
- ヘンレループ:水・ナトリウム・クロールなどが再吸収
- 遠位尿細管:ナトリウム・炭酸水素イオンなどが再吸収
- 集合管:水などが再吸収
尿量を調節する仕組み
腎血流量や血圧の変化により尿量を調節するホルモンが分泌されます。
ホルモンによる尿量の調節
尿量が減り 血圧が上がる
- レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
- バソプレシン
尿量が増え 血圧が下がる
- 心房性ナトリウム利尿ペプチド
- 脳性ナトリウム利尿ペプチド
腎臓は糸球体の血流量を維持する自己調節機能を持っている。
糸球体の血流量は交感神経の影響を受け尿量も調節される。
まとめ
腎臓はホメオスタシスを維持するために尿を作る
尿を作ることで
- 老廃物の排泄
- 水・電解質の調節
- 酸塩基平衡の調節
腎臓はホルモンを産生する
ホルモンを産生することで
- 赤血球を増やす
- 骨密度を増やす
- 血圧を調節する
今回は腎臓について構造と働きについて勉強しました。
尿量の調節だけでなく電解質やPHを調節する働きも担っていました。
また、ホルモンを分泌することで血中酸素濃度や血圧、骨密度を調節する働きも担っていました。
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