脳底動脈最終末部は左右の後大脳動脈(および穿通枝)・上小脳動脈に枝分かれしているので脳底動脈の血流障害は左右同時に梗塞を起こす可能性がある。
脳底動脈先端症候群(Basilar top syndrome)は中脳・視床や側頭葉・後頭葉に梗塞を起こしさまざまな症状を呈するとされています。
今回は脳底動脈先端部の解剖から、視床の両側同時損傷のメカニズムを考えていきたいと思います。
脳底動脈先端部
脳底動脈から分岐する穿通枝動脈は視床は中脳に灌流している。
視床の各領域に灌流する穿通枝動脈- 視床灰白隆起動脈
- 視床穿通枝動脈
- 視床膝状態動脈
- 後脈絡叢動脈
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両側の視床損傷
脳底動脈先端部の梗塞で、後交通動脈より近位である視床穿通枝動脈の灌流領域が損傷を受けやすい。
脳底動脈の梗塞で左右の視床穿通枝動脈に影響する。
両側の視床損傷を起こす可能性がある。
脳底動脈先端部
脳底動脈先端部で起こった梗塞が視床穿通枝動脈領域の損傷を起こした後、血流が再開した場合視床の脳梗塞は完成している。
さらに遠位に血栓が流れ梗塞を起こす可能性もある。
その場合、後大脳動脈の遠位部に再梗塞を起こす可能性も想定される。
両側視床梗塞 ➕ 後頭葉視覚野の梗塞など
まとめ
脳底動脈の解剖を考えながら脳底動脈が梗塞を起こしたらどのような病態が考えられるかを想定しました。
脳底動脈先端部の構造の特徴
- 左右への枝分かれ(後大脳動脈・上小脳動脈)
- 中脳・視床、側頭葉・後頭葉への灌流
その他、穿通枝の派生は個人差があるようです。
両側後大脳動脈から穿通枝が出ている場合や脳底動脈先端部から1本で左右の視床に灌流している場合など、穿通枝のタイプも様々なので梗塞のしやすさに影響するようです。