タバコの健康被害が注目されています。タバコの値上がりや喫煙所の減少など禁煙が進められています。そのような中、なかなか禁煙できないでいる人もいるのではないでしょうか?タバコの煙の中にはニコチンという物質が含まれています。このニコチンが中枢神経に作用すると、依存症を引き起こすきっかけとなるようです。


今回は、タバコで頭がスッキリすると感じる人は脳内でどのような神経作用がはたらいているのかを考えていきます。
目次
タバコで頭がさえる?その理由【ニコチンの神経作用について】
タバコの歴史
メモ
- 南米原産
- ナス科タバコ属の植物
- 16世紀の大航海時代、日本に入ってきた
タバコと健康
タバコに含まれる有害物質
タバコの煙には4000種類以上もの化学物質が含まれています。
そのうち、発がん性物質はなんと60種類 😈
タバコの煙に含まれる化学物質
- 化学物質→これらを含む物の例
- アセトン→ペンキ除去剤
- ブタン→ライター用燃料
- ヒ素→アリ殺虫剤
- カドミウム→カーバッテリー
- 一酸化炭素→排気ガス
- トルエン→工業溶剤
発がん性
[タバコを吸っていると、こんながんのリスクが高くなります]
(タバコの煙が直接触れる部位)
咽頭がん 肺がん 口腔・咽頭がん
(タバコの煙が触れない部位へも!)
食道がん 胃がん 肝臓がん すい臓がん 膀胱がん 子宮頸がん
[生活習慣病の原因に]
タバコを吸っている人は、吸わない人に比べてメタボリックシンドローム(高血圧・糖尿病・高脂血症)に3倍かかりやすくなる。
脳梗塞や心筋梗塞の原因にもつながっていく。
タバコとニコチン
なぜ、たばこ吸うのでしょう?
頭がスッキリする
かっこいい
おとなだから
と言いますが、やめようと思ってやめられる?
生活習慣的に喫煙している人のうち、タバコをやめたいと思う人の割合は28.9%であり、男女別にみると男性は26.1%、女性は39.0%である。
(厚生労働省:平成29年国民健康・栄養調査結果の概要) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf 参照
ニコチンは麻薬みたいなもの
禁煙したいけどやめられない、なぜ?
タバコの煙に含まれるニコチン
ニコチンは、麻薬にも劣らない依存性をもつ薬物なのです。
「各使用者のなかで依存症になる人の割合」
ニコチン>ヘロイン>コカイン>アルコール>カフェイン
「依存症になった人での禁断症状の強さ」
アルコール>ヘロイン>ニコチン>コカイン>カフェイン
「依存症になった人でのやめることの難しさ」
〔アルコール=コカイン=ヘロイン=ニコチン〕>カフェイン
麻薬以上に依存症になりやすい :twisted 禁断症状も強く、やめにくい 😈
タバコで頭がスッキリする?
タバコを吸うと、ニコチンは脳にあるニコチン受容体に結合します。すると、快楽を生じさせる物質(ドパミン)が大量に放出されます。これが「タバコを吸うとスッキリする」という作用をもたらすしくみです。
ニコチンの神経作用機序
- 脳には、ニコチンが結合すると快楽が生じる受容体があります。(ニコチン受容体α4β2)
- タバコを吸うと、ニコチンが肺から血中に入り脳に運ばれます。
- ニコチンがニコチン受容体に結合するとドパミンが放出され、快楽を生じさせます。(スッキリする)(ホッとする)
e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-052.html ニコチン依存症 参照
タバコとストレス
ニコチン切れ?脳内ドーパミンが低下
人はもともと気分の調整や作業への集中などに必要な神経伝達物質の分泌を自己調節しています。
しかし、たばこを吸う事によって生じるニコチンの神経作用機序の方が自己調節よりも大量に神経伝達物質(ドパミン)を放出します。
タバコを吸う事を節制する事の難しさは、自己調節より簡単に快楽を得られてしまうという点です。
ニコチン切れのストレスには体の防衛反応が働きずらく、ストレスが溜まっていく事に・・・。
少しづつ体は、神経伝達物質(ドパミン)の分泌をニコチンに依存するようになり、ニコチンを補充しないとだめな体に・・・「ニコチン依存」
頭をスッキリさせる、気持をホッとさせるなどのちょっとしたストレス解消のためにタバコを吸っていたはずがニコチン依存になると、タバコ自体がストレスとなりニコチンが切れるたびにタバコを吸わないといられなくなってしまうという点に注意が必要です。