下肢の運動障害を引き起こす脊髄疾患として
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 脊椎破裂骨折
などが挙げられます。
これらの疾患は脊髄を圧迫するメカニズムの違いがあります。
様々なメカニズムによって起こる脊髄圧迫病変が下肢の運動障害を引き起こしていると考えられます。
今回は各疾患が引き起こす脊髄圧迫病変のメカニズムを考えていきたいと思います。
下行伝導路
運動指令は大脳運動野から皮質脊髄路を下行していき脊髄の前角細胞に接続する上位運動ニューロンと脊髄の前角細胞から神経筋接合部までの下位運動ニューロンによって筋肉(効果器)へ伝達されます。
脊髄圧迫
神経根の障害では下位運動ニューロンが障害され下肢の弛緩性麻痺が現れます。
脊髄前角細胞の障害では腱反射の亢進や病的反射の出現など上位運動ニューロン兆候を示すことがあります。
神経根と腱反射との関係
- 深部腱反射の減弱(消失)
L4神経根:膝伸展の運動(大腿内側の感覚)膝蓋腱反射
S2神経根:足関節底屈の運動(下腿後面)アキレス腱反射
上位運動ニューロン障害- 病的反射の出現
- 深部腱反射の亢進
脊椎と脊髄の高位差
脊髄下端:第1・2腰椎間
脊髄円錐上部:第12胸椎高位
- 高齢者は椎間板の変性狭小化などの加齢変化によって円錐部の高位低下傾向があるとされる
- 円錐上部は椎体一つあたりに多数の髄節が入り込んでいるため運動障害が起こりやすいとされている(脊髄前角細胞の障害)
- 円錐部は排尿中枢であるS2-4に近いため膀胱直腸障害が起こりやすいとされている
馬尾
馬尾はL2以下の神経根が腰部脊柱管内で合体したものであるとされる。
症状の現れ方は神経根単体の圧迫か脊柱管内の圧迫かで異なる。
まとめ
今回は胸腰移行部より下位の脊髄圧迫病変を考える場合について勉強した。
- 脊髄前角細胞の圧迫を受ける円錐上部(病的反射の出現)
- 排尿中枢の圧迫を受ける円錐部 (膀胱•直腸障害)
- L2以下の神経根の集まりとなっっている馬尾(痛み、深部腱反射の減弱)
など圧迫病変の高位から症状を特徴づけられると考えられます。