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視覚認知経路

              

視覚情報は網膜から上丘を介して後頭葉の視覚野に伝達されます。

視覚情報を高次に認知する経路として2つ挙げられています。

  1. 背側経路:視覚野から頭頂葉へ向かう(対象に働きかけるための視空間処理)
  2. 腹側経路:視覚野から側頭葉へ向かう(対象を色・形などから認知する経路)

視覚認知経路にはいわゆる「どのように」「どこに」「何に」の情報を処理するのか?

それぞれの経路の特徴が挙げられています。

背側経路は

  1. 背背側経路(どのように;How)
  2. 腹背側経路(どこに;Where)

腹側経路は(何に;What)

今回は、背側経路2つと腹側経路1つの3経路について勉強していきます。

 

視覚認知経路

視覚認知経路の基本的な仕組みとして、視覚野からの情報が大脳皮質のどこに向かって行くかによって情報処理の認知・統合過程が異なっているということが挙げられます。

腹側経路は側頭葉に向かう経路:対象の色や形の情報処理を行う。(対象が何か?対象の知識、意味記憶の存在する側頭葉で認知・統合)

背側経路は頭頂葉に向かう経路:対象の位置と眼と手の位置情報を統合し行為に結びつける。(どのように?)対象の存在を空間的に意識する。(どこに?)

背側経路は頭頂間溝を堺に上下に分かれる経路が挙げられています。(上頭頂小葉と下頭頂小葉)

  1. 背背側経路は上頭頂小葉と大脳皮質感覚野に向かう経路:対象の位置や動き・形などの情報を意識に上らない状態で処理する
  2. 腹背側経路は下頭頂小葉と角回・縁上回に向かう経路:対象の位置や動きの情報を意識に上る状態で処理(知覚)する

視覚経路の基本的な仕組みはまた、後方から前方へ情報伝達されるたびに変化していくことが挙げられます。

視覚野からの情報は向かう経路ごとに後方から前方へ段階的に統合処理されていきます。

後頭葉からの視覚情報に頭頂葉の体性感覚情報や空間情報が統合されたり、道具使用に関わる情報、側頭葉の意味記憶などの情報が加えられた形で情報処理が変化していきます。

 

背背側経路

背背側系路の損傷は視覚性運動失調のような行為の無意識制御の破綻を生じる(眼・手の位置と対象の位置情報を統合)

視覚的に捉えた目標へのリーチ障害で無意識での制御が困難になる(意識的に代償することが可能)

右半球の前頭ー頭頂ネットワークの障害:身体失認、病態失認

  • 身体意識の生成に関わる(身体所有感や運動主体感)

 

腹背側経路

腹背側経路の損傷は半側空間無視のような対象の意識化の障害や、観念失行・観念運動失行・preshapingの障害のような行為の意識的制御の破綻を生じる(道具使用に関する情報をもとに対象を立体的に認知・統合する)

右半球の前頭ー頭頂ー側頭ネットワークの障害:半側空間無視

  • 背側注意ネットワーク:能動的注意 (線分抹消検査)
  • 腹側注意ネットワーク:(刺激)受動的注意 (線分二等分検査)

左半球の前頭ー頭頂ー側頭ネットワークの障害:失行(観念失行・観念運動失行)

  • 左下頭頂小葉:感覚経験の貯蔵と技術的推論(道具使用ネットワーク)
  • 腹背側経路:空間・形態認知・把握操作運動

腹側経路

腹側経路の損傷は形態認知の障害を引き起こす。

視覚認知障害(視覚失認)

  • 要素的感覚の障害がない(見えている)にも関わらず、色や形などの視覚的特徴から対象が何であるか認識できない。

側頭連合野:特定の視覚対象の認知に特化した領域が多数分布

  • 顔に特化した領域;紡錘状回
  • 場所のレイアウトに特化した領域;海馬 など

まとめ

右半球の前頭ー頭頂ネットワークの障害;身体失認、病態失認

右半球の前頭ー頭頂ー側頭ネットワークの障害;半側空間無視

左半球の前頭ー頭頂ー側頭ネットワークの障害;失行(観念失行・観念運動失行)

腹側経路の障害;視覚失認

視覚認知経路の障害を大脳連合野のネットワーク障害として捉えると代表的な高次脳機能障害のメカニズムについて概観することができると思いました。

 

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